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高野山真言宗
肥土山の虫おくり
この虫おくりは、毎年半夏生の夕刻に行われており、1661年(江戸時代)が始まりと言われ、約350年続いている伝統行事である。
当日の午後6時から、多聞寺本堂に於いて大般若経を転読し、「五穀豊穣」「害虫駆除」「厄災消除」「如意円満」を祈願する。祈願終了後、本尊の御前にお供えしている燈明より火を頂戴し、朱塗りの手燭に移し、その後旧毘沙門堂跡にある虫塚にて読経をし、虫供養を行う。それが終わると虫送りの出発地である肥土山離宮八幡宮に向かう。八幡宮に着くと、用意されている松明に手燭から火を移し、松明が燃え上がる。そこでもまた火に向かい先ほどと同様の祈願を申し上げる。祈願が終わればいよいよ出発である。集まった子供会連中が、用意した火手(ほて)に火を点けて、田んぼの畦道を歩きながら約1km下手にある蓬莱橋まで行列するのである。
その道中「稲虫(いなむし)来るな、実盛(さねもり)失せろ」と言いながら進む(注1)
(注1) 農薬が無かった時代、各家々で火の点いた火手を持ち、太鼓と鉦を鳴らしながら般若心経や火天呪(呪術的要素)などを唱え、自分の田んぼの畦道をグルグルと回った。それがお百姓にとっての大事な行いだった。しかし今日では農薬が発達し、呪術的な行いに頼らなくなった。しかしその名残が今の虫おくりとして残っているのである。
「実盛」とは斉藤実盛のことを言う。平安末期の武将で平維盛に従い、源義仲との戦いの際、稲に足を取られてつまずいたがために討たれてしまった。それで稲を恨み、実盛は稲虫になったという伝説が残っている。
小豆島霊場第46番 護法山 多聞寺
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